木彫刻師 仏画師 菊池 侊藍

 

菊池 侊藍さん(2023年 藤峯美術にて撮影)

藤峯美術にて作品の納品時、お話しを伺いました。インタビューの前にご​​同行された、お師匠様である関侊雲先生からも制作の裏側などもお話を伺うことができました

 

人が手を合わせているものを作っているので修行生活全般に気を配るようにしています。大事な、まだ修行中ですから。また、画も描けるので、木彫刻師としての活動の他に仏画も学べるように指導しています。(関侊雲先生)

 

彫刻だけにとどまらず寺院の天井画や個人の仏画など、広く活動している菊池侊藍さん、2024年にはNHK、辰年の特集としてBS美の壺にご出演され、国内でますます大きくご活動を知られるようになりました。

 

今回のインタビューは木彫刻師としての活動を中心にご紹介いたします。(以下、菊池侊藍さん・菊)


 


1:今回の「藤と麒麟」で熟慮されたところ、またこだわりなどございますか?

 

菊「仕上がりの陰影などに気を配りました、面の捉え方や、これから咲こうとしてる山藤の気が出るような、麒麟の図像が持つ、その意味や形式などの気を配りました。」

 

2:札幌出身と伺いました、その土地で毎日を送る中で目にされて来たこと、思われた事、印象に残ったことなどありましたか?

 

菊「そうですね、北海道は自然が豊かな土地です。自身が育ったまちは住宅街でしたが、真冬の雪のしんとした風景を、地元というと、良く思い起こします。静かに雪の降る景色、それと、湿っていないので、雪が降るときに廻旋があり、その下を風が爽やかに吹いています、そういうことが作品に反映しているかどうかはわかりませんが(笑)

 

-現れてるような気がします(笑)菊池さんの作品の中には静かに風が吹いているような、たたずまいがありますが、雪の降る環境でのご苦労などありますか?

 

:「子供の頃はお母さんが買い物をしたときに、荷物と一緒にお子さんをそりに乗せてはこぶことがあります。今いる富山の方は、量的にはそうですが、質が違いますので、湿った雪が北陸の特徴だと思います、雪国とはいっても全然違います。」

 

3:伝説の神獣について

-人は直接、直接接触したり、目に見えない存在にもかかわらず(昔は実体として見えたかもしれませんが)おそらく感じた存在を神獣として図に残したり、彫刻としても残してきました、先人達が残し信仰した存在について自分のお考えを伺えますか?

 

菊「実際、伝説上の生き物ではありますが神仏の中でも、人にとって最も身近な信仰の対象の一つが龍ではないかと思っています。老若男女問わず知っている身近なもので、西洋ではドラゴンという存在ではありますが、伝説というか、国にも宗教にも寄らず、神様と思える共通のものだと思います。そういう意味を込めて龍のモチーフは色々な方に受け入れて下さり易い、伝説の神様だと思います。」

 

4:修行について

 

菊「普通の芸術家のようにアトリエで、また一人で制作するのではなく、弟子入りということで、兄弟弟子と生活しながら仕事を覚えさせて頂くということで、どちらともだけでなく、生活の中できっちりとメリハリを持ってほしいといったことが仕事にも影響します。

 地元を出て、色々な人と生活し、接する事で知った事ですし、色々な人との関わりの中で仕事に影響する事があります。普通の状況より、人間性についても、仕事の技術面においても学ばせて頂くことが多いです。朗らかな笑顔の菊池さん)

 

5:休日の過ごし方は?

 

余裕があるときは、美術館や風景を見に行き、お寺などにも足を運びます、北陸には割とお寺がたくさん残っているので、富山で言えば多くの彫刻が、素晴らしい社寺仏閣があり、地域によって、地元の木彫師さんも違うので、それぞれで勉強になります。


欄間の技術で言えば、厚みのある欄間でもより立体的に飛び出して見えるような彫り方、魅せ方というところが勉強になります。

 

6:修行中は、とても忍耐を感じられるお仕事だと思います。また、それぞれ相違工夫は、バリエーションを変えながら制作するのでしょうか

 

菊「そうですね、今のところ、それは無いかもしれませんね。龍をたくさん彫らせて頂いてるので、よくも悪くも慣れてしまわないようにしています。

新しいモチーフの作品のときには、一から、新しい、前とは違う彫りこみとか、全体の雰囲気を、初めに良く考えなおして取り組むようにしてます。

 

7:行ってみたい土地はございますか?短期でも、今後、修行をされて5年後ぐらいとしても。

 

菊「どの土地でも、その土地ならではの空気みたいなものがある、どこも、そうですね、行ってみたいかも、ですね。でも、外国であればイタリアのミケランジェロの作品は、他にはないので、いつかは、じかに見てみたいと思います。」

 

8;外国など、日本の龍以外に、彫ってみたいモチーフはありますか?

 

菊「外国では、先程のミケランジェロ彫刻の服のシワや、ひだ、日本とは違う表現、柔らかさなど、体の表現などを勉強したいと思ってます。


9:小さい頃にほめてもらった経験はありますか?

 

菊「そうですね、図画、美術、ほめられた点は、今に、つながってると思います。」



10:将来彫られてみたい、先の目標や夢はございますか?

 「龍とか麒麟以外の神獣も、そうですけど、普通に動物や人といったような立体像も勉強していければ還元できますので、動物や、人物、立体表現も含めてやってみたいと思います。


細かい事だとご依頼いただくその方にあった雰囲気やモチーフもありますので、なら龍で、同じではなく、ご依頼されたお客様の、理想とした作品を突き詰めていきたいのが目標です。

今の時代の人が見て素晴らしいと思って下さるような作品は、作っていきたいと思ってます。」

 

菊池さんの作品をネットで初めて見たとき、風が吹いていたように見えました、涼しげで爽やかな気が舞い、吉祥の形をこの世に体現させてくれる人にお話しすることができます、とても嬉しく今後のご活躍が大きく期待されます


これからも人の心が理想とする形を作りあげていかれるでしょう。

 

インタビュアー、ライティング:ブログ「翼語り」

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                                                                               ©️藤峯美術



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